日本看護研究学会雑誌発行50周年記念誌
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,The 50th Anniversary 図 3 目標達成のための基本理念としての戦略図 3 目標達成のための基本理念としての戦略 原則的な共通ルール)であったり、というような組織の管理体制、つまり、学会運営をスムーズに⾏う基本的な決まりごと(慣習やルール)を確認しておくということです。やはり理事⻑としてこういう考え方は持っているべきだと思ったわけです。 そして、いよいよ戦略を練り、さらに作戦、すなわち大項目としての⾏動計画を立て、そもともとの語源は孫子の「兵法書」にある、戦争の戦い方を言うものらしいです。 まとめますと、戦略は(学会運営の)総合的方向付け、言い換えればポリシーというべき概念です。繰り返しになりますが、まずは喫緊の問題(イッシュー)の中から現状をしっかり分析して実現可能性のある課題を厳選します。目標が決まったら、費用対効果を考慮した具体的行動計画を立て、期限を意識しながらスピーディに理事会を重ねていきます。ここで、理事長の大きな役割というのは、(適宜メール会議を利用しながら)遠隔会 議を招集して計画を積極的に進めていくということでしたが、何より、役員あるいは会員間の横のつながりを重視する、つまり意思疎通の要になることに徹するのが重要だと考えました。それが会員のメンバー意識の高揚に繋がると思ったのです。そして次に心がけたのが、スピード感でした。自分含め、すべての会員は忙しい身なので、2年という任期はあっという間に過ぎてしまうからです。それと今一つ大事なことは、これも組織運営に於いては常識と言えることなのですが、人選では可能な限り「適材適所」を目指す、ということです。計画実行の推進役である理事(各種委員会の長)と各種委員会委員を担うに相応しい気概と学会への献身のある人材をあてることは、学会運営に於ける意思疎通や迅速性を保つためにも、非常に重要な要素だからです。ですから、役員の人選というのは、どのような組織に於いても慎重に000人もの会員行われるべきだと考えました。ただ、6の中からそうした人材をピックアップすることは容易ではありません。ここにおいて、看護学系学会でも希有な、地方会を持つという強みが発揮されました。歴史ある地方会ならではの地域的な人脈、会員同士の繋がりが、望ましい人材発掘を容易にしたと言えます。かくして役員候補に挙がった方々については、理事長の責任として、リサーチマップ等の公開資料等によって客観的評価もさせていただき、適材適所の理想的な役員人材を得ることができました。そうして、理事会が是非とも実現させたいと厳選して取り組んだ喫緊の課題が、「会員数減少問題」と、「(巨大学会故に見えにくい)学会活動の活性化、見える化の推進」となったのです。ら入会できる看護学系の学会はまだほとんどなかったと思います。学会の発展は若手にかかっていますから、理事会で検討を重ねた結果、年会費は思い切って安く(千円)設定しました。 つぎに、2022年、待望の国際誌(Journal of International Nursing Research, JINR)の誕生です。法橋編集委員長が何年も前から周到な準備をしてくださっていて、すでに下地は整っていました。国際誌ができたのですから、この上は、まずは、会員の皆様にどんどん投稿していただきたいと思います。 そして、どうしても取り組むべきであったのが、研究活動の推進です。ご承知のように、この学会の特徴は看護学のあらゆる専門領域を含む包括的な学術団体であることです。加えて、あまり知られていないかも知れませんが、学会員の中で臨床の方、あるいは看護実践に携わる専門職者の割合が比較的多いことも特徴なのです。看護に於ける研究とは実践に資するエビデンス探究ですから、それを「実践研究活動推進」と銘打ってフィーチャーした活動を組織化したいと考えたわけです。ただし、委員会として立ち上げるには時間がかかりますから、まずはワーキングという形で発足させることになり2年間で取り組んだ作戦と戦術 ではここで、2年間で取り組んで、どうにか達成できたこと(実績)を振り返ってみたいと思います(図4)。 まずは、「学生会員制度」の新設です。当時は18歳かJapanese Society of Nursing Research 13

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