日本看護研究学会雑誌発行50周年記念誌
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日本看護研究学会雑誌発行50周年歴代理事長加による学会規模の巨大化によって、任意団体のままでの運営が限界に達している状況があり、学会を安定的に継続するためにも「法人化」は最優先課題でした。「法人化」の検討段階で、旧法律上の要件をクリアすることの難しさに悩んでいた頃、本学会にとっては選択の幅が広がる「公益法人制度改革関連三法」が2006年に公布され、2008年には全面的に施行されました。このことは、本学会にとって「法人化」を実現する、まさにタイムリーな改正となりました。この情報は、当時私が本学会からの推薦で運営委員として関わっていた「日本看護系学会協議会(2001年〜)」の活動の中からいち早くもたらされ、その後の法人設立に向けた準備を円滑に進められたことに繋がりました。この法律の下で、本学会が「公益法人」ではなく「一般社団法人」を選択したことは、設立時からの特徴であった「多様性」を体現するための自然な流れの中での選択であったと、今は振り返っています。「法人化」にあたっては、会員、特に評議員の方々の不利益に配慮し、5年以上をかけて選挙制度などを慎重に検討し、さらには毎年の学術集会総会で新法律の制定や学会の組織変更についての説明を繰り返し行い、承認を得ながら進めたつもりです。この間、本学会関係者はもとより、法律には全くの素人である私たちを「法人化」に導いてくれた法律事務所や関係機関の皆様のご指導ご協力に、心謝いたします。 東日本大震災と大規模災害支援事業の開始2011年3月11日、東北から関東にかけての広い範囲を巻き込んだ東日本大震災が起こりました。当時、千葉市に置かれていた事務所も被災しましたが、出勤していた職員の方々が無事であったことは幸いでした。本学会は、横浜での第37回学術集会 (黒田裕子学術集会長)の開催を8月初旬に控えて、本格的な準備を進めている最中でしたが、その被災規模の大きさと深刻さ、開催地である横浜の状況などの物理的な困難が多数生じたこと、そしてそれ以上に、被災地の方々の多くの命が奪われ、暮らしが破壊されたことの衝撃は計り知れないものがありました。そのような中で学会活動を通常通りに行えるのか、行ってよいものか、黒田学術集会長や理事会メンバーとともに悩みぬいた日々でした。一方、この類をみない被災状況をふまえ、学会として何ができるのかを種々模索した結果、会員や理事の意見を集約して、「大規模災害で被災された看護職を目指す学生の修学継続と、看護学研究者の研究継続を支援する (一部抜粋)」を目的とした新たな事業の実施を「大規模災害支援事業委員会」の設置とともに決定しました。その経緯においては、本学会が設立当初から、若手研究者や看護学生を育成することを大きな目標として掲げてきたことが根底にあり、再認識する形で実現しました。また、2011年度はこの事業を会員からの寄付を募って実施されたことも特異的なことでしたが、2011年度は69件の学生等の申請に対して、500万円以上の支援が実現しました。その後、この事業は支援の対象となる災害の範囲や資金面での変更や整備を行いながら、今も継続されています。震災から4か月後の8月7日・8日、まだまだ復興が始まったばかりの中、第37回学術集会は若干の計画変更を余儀なくされたものの、また、いくつかのハプニングにも遭遇しながらも、黒田学術集会長や関係諸氏・各社の皆様のご尽力ご協力によって無事に開催されました。その会場でも大規模災害支援事業への寄付を募り、資金とさせていただきました。この場を借りて、会員をはじめとする皆様方が発揮してくれた底力に敬意と感謝をお伝えしたいと思います。最後に、長きにわたって本学会の事務局をご担当いただきました諸姉に御礼申し上げます。とりわけ、「法人化」の準備から設立、大規模災害支援事業の立ち上げといった激動の時期を、誠心誠意、会員の立場に立ってご尽力いただきました高橋成子様に心よりの感謝を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。(以上は記憶をたどっての記載となりますが、詳細は学会 HP をご参照ください。)24

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