The 50th Anniversary 第14代理事長(2022年度〜 2023年度)浅野 みどり この度は、日本の看護学系学会としての草分けである「一般社団法人 日本看護研究学会」がめでたく50周年を迎えることとなり、記念事業の一つとして50周年記念誌を発行する運びとなりましたことをたいへん喜ばしく、また心からほっとした気持ちでおります。 思い返しますと、私は2022年6月に、第13代理事長 深井喜代子先生から熱い思いの詰まったバトンを受け取ることになりました。この時、私はまだ若輩かつマイナー領域の小児看護学を専門としており、日本看護研究学会の理事会活動として決して十分と言える経験や実績を持っていなかった者として、“会員数6000名を超える,老舗であり、また、看護学の各専門領域すべてを包含したアンブレラ学会”を背負っていく立場の理事長を拝命することには、大きな戸惑いがあったことをよく覚えています。しかしながら、ご一緒に副理事長を務めていただきました前田ひとみ先生、安藤詳子先生はじめ総務理事・理事会の諸先生方、監事の稲垣先生、任先生そして会員のみなさま方に支えていただきながら、2024年6月の社員総会をもって2年間の任期を何とか無事に終えられたことは、たいへん有難く思っています。さて、振り返ると、私が就任した2022年6月は、ま19)パンデミック第7 波のさだ新型コロナ(COVID-なかでありました。ここで、就任の際のご挨拶文を再掲させていただき、その時の思いや決意を振り返りつつ、任期を終えた今、アウトカム として何 が達成 でき、その一方で次期理事長となられた叶谷先生はじめ役員のみなさまに何を託すことになったのか、簡単にではありますが自分なりに総括してみたいと思います。 なお、余談かもしれませんが、最近また、変異株による新型コロナウイルス感染者が3倍に急増し、第11波となっていることも気にかかります。現在流行している変3は、従来の変異株と比べ、ワクチン接種や自然異株 KP.感染で得られた免疫を回避する能力が高まっていると指摘されています。5類に移行したとはいえども、今後、夏休みで人々の移動が増えることは必至の時期でもあることから、感染の動向を注視していかなければなりません。【就任時のご挨拶】 このほど、私儀、本邦で最初に設立された包括的看護学系学会である日本看護研究学会の理事長を拝命することとなり、深井喜代子前理事長よりバトンを引継ぎましたので、会員のみなさまに一言ご挨拶を申しあげます。 本学会は広く看護学の研究者を組織し、看護学の教育、研究および進歩発展に寄与することを目的に発足いたしました。本学会の前身である四大学研究協議会は、教育学部特別教科(看護)教員養成課程を持つ熊本・徳島・千葉・弘前の4国立大学により、看護学の教育検討の目的で始まり、1975年に第1回学術集会として四大学看護学研究会を開催しています。また、1978年には雑誌創刊号が発刊されています。奇しくも、1978年は私が千葉大学看護学部に入学した年でもあり、これも何かのご縁と感慨深く存じております。 さて、日本は今、新型コロナ感染症のパンデミックによる第7波のさなかにあり、一日の感染者数が20万人を大きく超える事態となっています。若者だけでなく、軽症とはいえ子どもの感染者も急増しており、新型コロナ感染の自宅療養者は過去最多の140万を超え、連日メディアで取り上げられています。感染者および濃厚接触者の急増は、勤務できない医療従事者の増加を招き、更なる医療ひっ迫/医療崩壊の危機から、対応策の変更を求める声も高まっています。 加えて、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の長期化から、国際関係の悪化や世界の人々の平和な暮らしが脅かされている事実にも危機感と共に心の痛みともどかしさを感じています。深井前理事長の就任のご挨拶にもありましたように、“私たちが専門とする看護学研究(Research in Nursing)は、その黎明期より「人Japanese Society of Nursing Research i一般社団法人 日本看護研究学会創立50周年に寄せて
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