日本看護研究学会雑誌発行50周年記念誌
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5121234The 50th Anniversary北海道地方会や地域的・距離的な近さは利点ではなくなっています。このような時代の変化に柔軟に対応しつつ、なおかつ、“地方会の良さ”を失わず、次世代を育てていくにはどうすればよいか。例えば、中国・四国地方会学術集会では、次のような取り組みが考えられます。①共同研究者は学生や多職種の人も含め、非会員でも発表できるように、学術集会の発表者資格を拡大する、②学術集会における発表時間及び質疑応答時間を拡大する、③発表に対する指定発言や教育コメントを設ける、④学生の学術集会運営への参加を奨励する等です。本学会が50周年を迎え、地方会も誕生から約40年が経った今、本学会に捕らわれず、“地方会だからこそできる”挑戦的、試行的な取り組みを今一度、考える時期かもしれません。1.北海道地方会の設立と目的 北海道地方会は1992年に発足しました。1989年に開催された準備会「日本看護研究学会の北海道地区設立に向けて(仮)」を契機として、看護研究、教育、実践の発展に貢献することを目的に活動を開始しました。学術集会や講演会の開催を通じて、看護の実践者と教育・研究者が連携し、看護学の発展を目指して取り組んでいます。2.北海道地方会における主な活動内容 北海道地方会の会員数は、2024年4月現在、251名と他の地方会と比較して小規模ですが、下記のような多様な活動を展開しています。 )学術集会・総会の開催:学術集会・総会は毎年7月または8月に開催し、最前線の知見を共有する場として、若手研究者や臨床実践者が発表しやすい環境を整え、地域の研究活動を活性化させる役割を担っています。また、学術集会長としてのデビューの場にもなっています。 )特別講演会の開催:特別講演会は毎年2〜3月に開催し、研究方法や実践的な知識を学ぶ機会を提供しています。昨今はオンライン開催により、広域からの参加も可能となりました。 )地方会ニュースの発行とホームページの更新:地方会ニュースは毎年6月に発行し、活動状況や最新の情報を会員に提供しています。また、ホームページも随時更新しています。 )研究奨励賞の選考:2002年に山田要子初代会長によ山田 律子(前会長)る寄付をもとに、研究奨励基金を設立しました。毎年12 〜1月に選考委員会を開催し、論文1件、発表(地方会での発表を含む)2件の受賞者を選考しています。地方会学術集会時に表彰式を開催しています。 )会長・副会長選挙と役員選出:2年ごとに会長と副会長各1名の選挙を行っています。役員は多様な所属先の臨床実践者と大学教員で構成され、貴重な情報交換の場にもなっています。3.現状の課題と対策 北海道地方会は、広域性を持つ組織であるため、いくつかの課題に取り組んでいます。 )学術集会参加者数や演題数の減少:学術集会への参加者数が減少し、演題が集まらないことが課題となっています。対策として、参加しやすいよう学術集会開催日を調整し、若手研究者の全国学会に向けたステップアップの場として、北海道地方会独自の研究奨励賞などもアピールしてきましたが、今後は他の地方会を参考に学生会員の増加に向けて取り組みたいと考えています。 )経費の高騰と対策:会員への案内や選挙等の郵送費、交通費等の高騰が課題となっています。対策として、2022年度から地方会ニュースはホームページとメール添付による案内に変更し、2024年度の選挙からオンライン投票システムを導入するなど、経費の削減を図っています。なお、「地方会が企画する学術集会または研修会における講演への支援金」に、今年度初めて本部に資金助成を申請させていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。4.今後の展望 北海道地方会は、オンラインと対面形式を組み合わせた柔軟な活動を通じて、地域性を活かした取り組みを推進する方針です。今後は、若手研究者や学生会員が参加する機会を増やし、次世代の育成を図りたいと考えています。また、他の地方会活動を参考にして組織体制と運用方法の見直しを行い、地方会の持続可能性を高め、さらなる活動の充実を目指します。最後に、今回の企画を通じて他の地方会から多くのヒントをいただいたので、今後は地方会同士の横の繋がりも大切にして、互いに活性化できることを願っております。Japanese Society of Nursing Research 69

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