日本看護研究学会雑誌発行50周年奨励賞受賞 奨励賞受賞の想い出とその後の研究活動 2013年度奨励賞 2013年度奨励賞82 2014年度奨励賞 2014年度奨励賞今井 多樹子竹内 陽子牧(石飛) マリコ山根 友絵 奨励賞から10年が経過しました。受賞論文は、博士論文の一部を加筆修正したものでした。その意味では、研究者として、その後のキャリアに繋がる大切な業績の一つでした。その上で、日本看護研究学会雑誌の原著論文として採択され、奨励賞として認められた経験と感動は、研究者として非常に感慨深く、生涯の財産となりました。本研究は、研究者自身の ICU 看護師としての経験から「一般的に、自律した職務遂行を一人で全うすることができない新人看護師に必要な知識は何か?」というリサーチクエスチョンの下で、客観式試験の開発を目的として、その前提となる「必要な知識」を調査し、概念化したものでした。概念化に際して、当時、研究での学術的な採用が希少であったテキストマイニングを用いた点は独創的といえ、個人的には、この点が奨励賞に至った一つの理由だと思います。奨励賞は、テキストマイニングが看護研究に貢献できる一つの根拠として、その後の研究での積極的な活用に繋がりました。 この度は、創立50周年記念を心よりお祝い申し上げます。奨励賞受賞の研究は、前頭側頭型認知症のかかわりとして、自閉症との類似に着目し、視覚的構造化の有用性を検証したものでした。特徴が類似していても認知症と自閉症は別疾患であることから、診断基準や文献等、かかわりの根拠をひたすら探求した当時が想い出されます。対象やその家族、看護師の方々に、何とか看護としての有用性を確立したいと一生懸命でした。本研究は、修士論文を加筆修正したものであり、当時の指導教員である長谷川雅美先生と、助言を頂いた石川県立こころの病院北村立院長に、改めて感謝の意を表します。 現在は、看護師の自己効力感に関する研究を中心に、精神看護学領域や認知症の研究を行っています。今回、自己の探求の原点を振り返る機会を与えて頂いたことに感謝し、一般社団法人日本看護研究学会の益々のご発展をお祈り申し上げます。岐阜聖徳学園大学 看護学部香川大学 50周年おめでとうございます。このたびは、このような機会をいただき感謝申し上げます。奨励賞をいただいた「要支援一人暮らし男性高齢者のサポート獲得プロセス」の論文は、修士論文に加筆・修正をしたものでした。質的研究に取り組んだのは初めての経験で、分析を何度もやり直した思い出があります。そのため、奨励賞をいただいたことが今後の研究活動への大きな励みになりました。その後、研究によって得た成果から一人暮らしや高齢夫婦世帯の高齢者を介護する別居介護者に関心を持ち、博士後期課程では別居介護者支援をテーマとした研究に取り組みました。現在は、別居介護者の介護負担の現状や特徴を明らかにするための研究を行っておりますが、質問紙調査の回収率が低いなど、苦労も多いです。世帯構造の変化から、別居介護者支援は重要な課題であると考えており、今後も研究を継続していきたいと思います。貴学会のますますのご発展を祈念いたします。 奨励賞をいただきましたのは、10年前になります。あっという間に時間が経過しましたが、受賞のときのことは、鮮明に記憶しています。修士論文を元に初めて学会誌に論文投稿をいたしました。周囲の先生方にご指導いただきながら精一杯記述し、査読を経て採択されたときはとても嬉しく、さらに奨励賞のご連絡を頂いたときには、調査にご協力いただいた方々のお顔が浮かび、改めて調査のご協力への感謝と今後も継続して何らかの貢献をしていきたいと感じました。その後の研究活動で、特性の異なる対象者やご家族に対するインタビュー調査をさせていただき、新たな知見を得ることができました。 現在は、精神疾患を有する人のご家族の強みに焦点をあてて研究活動を継続しています。人間環境大学 看護学部日本赤十字九州国際看護大学
元のページ ../index.html#92